a tale of memories
a tale of memories 1.ある戦士の物語。
1.ある戦士の物語。
部隊を束ね先頭を切るその人は、
いつも、
勝たなければならないと思っていました。
そして、
敵を倒すことで恒久的な平和を民にもたらすと信じ切っていました。
違う言葉と文化を形成するとはいえ、敵も同じ人間です。
ですが、
信じ切っているその人に、その事は見えていませんでした。
我々こそが、高い知識と洗練された文化を持つ、優秀な種であり、
それ以外の人々に「正しい統治と教育」が必要であると思い込んでいました。
侵略と支配を繰り返すうちに、ようやく「人の心」が見えてきます。
やがて、
その人は「異なる人々」に愛着を抱くようになります。
家族のように思い共に生きることに疑問を抱かなくなります。
そこには「生きる営み」があり、人種と文化を超えた交友があることを知ったのです。
しかし、
ほんの些細なことをきっかけに、その関係に亀裂が生じます。
王は殲滅を望みましたが、その人は迷いました。
共に生きた期間の記憶がその人の判断力を鈍らせます。
さらに、
絶対なる信頼と崇敬の念を寄せていた王は、不要なその人を簡単に見捨てます。
その迷いと絶望はその人の部隊を全滅させてしまいました。
死ぬその間際に、その人は自分の手を見つめ、その手にしてきたものの意味を己に問います。
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この戦いは何のためにあったのだ。
誰一人として幸せになることはなく、
通じ合った心も、結局は支配という形でのことでしかなく、
異なる人々の心はどこか我々を憎んでいたのだ。
その時の情勢により、コロコロと変わる王の気持ちに振り回されて、
人の心を忘れて、ついには大切な人を、、、愛する家族を、仲間を、部下を失った。
私は単なる人殺しなのだ。
戦うことに何の意味もない。
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その人は、
戦うことの虚しさを、部隊の全滅と自らの死をもって知ったのです。
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私がもし生まれ変わるというならば、
私の家族と部隊の人間には幸せになってもらわねばならない。
いや、私に関わった全ての人々に幸せになってもらわねばならない。
その為にただ私は生きよう。
我々は戦うことしか知らない。
共に戦ってくれた私の部下には、本当の意味での幸せを感じて欲しい。
もっと多くの人の心に触れて、人間らしい生き方を手に入れて欲しい。
私は立ち向かう
己の罪から逃げることはしない
もう一度、私と共に生きてくれるというならば、その時には、
人を救い生かす存在として
共に
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彼女は息を引き取るその瞬間、子供の頃に語った夢を思い出します。
「私、大きくなったら、お花で人を幸せにするの」
映画スノーホワイトのポスターがイメージにぴったりでしたのでお借りしました。
http://www.impawards.com/2012/snow_white_and_the_huntsman_ver8.html
繰り返しふと浮かぶ物語があり、それを書いていこうと思います。
記憶のかけらのような、断片的なものもありますが、なんだか書き残したくなりました。
その気持ちに従ってみようと思います。